「そっか、そうよね。すんなりと1人目で再婚相手がみつかるわけないわよね」
保奈美さんの心の声は大きく漏(も)れていて、私にもしっかりと聞こえてきました。
お見合いの1人目って、期待半分、不安半分で、どちらかというと半信半疑なところがありました、と感想をもらうことが多いですね。
とは言え、いつもよりもアイメイクがしっかりした色付きでしたし、こちらからお願いした通り、淡いピンクのブラウスにシフォン素材のフワッとしたロングスカートで女性らしさが引き立てて、お見合いに臨まれました。
しかし、「住むところ」という条件がどうしても噛み合わなかったことで、進展はありませんでしたが、婚活パートナーの私からは、また別の理由もあるように受け取りました。
それは「2人の空気感」です。
結婚相談所に入会すれば、希望している条件の方を紹介してもらえますよ。だって、その為に会員皆さんに根掘り葉掘りと質問して、「希望条件リスト」を作っているのですから。
ですが、いくら条件を合わせても、2人が実際にあって感じる空気感やフィーリングと呼ばれるものまでは、想定できないのです。
そうは言っても、こちらも数多くの成婚者を送り出してきたわけですから、保奈美さんと雰囲気が似ているKさんに会っていただくことにしました。足は止めません。
Kさんは50歳の初婚男性です。
one before:「【子連れで再婚・シングルマザー保奈美さん(5)】再婚できる人」
シングルマザーと初婚男性の再婚はハードルが高い?
シングルマザー保奈美さんと初婚であるKさんとのお見合いが成立しています。
Kさんから保奈美さんにお見合いのお申し込みがあったのですが、やはり、やはり、気になりますよね、年齢差が…。
成立するまでにはこのようなやり取りがありました。
「ひと回りも歳が違う方がお申し込みをくださったのですね。」
保奈美さんの第一声を聞いた後で、
「このままプロフィール紹介を続けることもできますが、どうしますか?」
ちょっといじわる?かもしれませんが、お見合いを申し込まれた側ですから、お断りすることもできるのです。
ですから、無理だわと即座に判断できるのであれば、これ以上時間を使うことはない。
ですが、保奈美さんからは、「お写真の雰囲気ては優しそうな方ですね。どのような方なのか、もっと聞いてみたいです。」と。
ですから、プロフィール紹介を続けることなりました。
Kさんの職業は公務員です。年齢的にもそれなりの役職についている方ですし、年収も相応にあります。が、初婚でいらっしゃる。
「どうしてKさんは一度もご結婚なさらなかったのでしょう?」
素朴な疑問ですよね。そこそこスペックがあり、見た目も年相応(髪の毛もちゃんとある)で、なぜ一度も結婚しなかったのか、気にならない人はいないでしょう。
Kさんからの答えは、いつでも結婚できると思っていたからだと聞いているのですが、タイミングを逃したのではないかと想像できます。
実はシングルマザーからしたら、初婚男性は気がひける存在でもある反面、経験値の無さが多少の不安をあおる存在でもある。
保奈美さんの中でも頭をよぎったことことでしょう。
そんな時、斜め45度を見上げながら、「ど、どうして私にお申し込みを下さったのかしら?、Kさんと同じ初婚の女性へお申し込みをされるのが妥当だと思うのですが。」
これには確固たる理由がありました。
Kさんは50歳であり、今から結婚し子供をもうけたとしても、子供が成人する頃には70歳を超えてしまう。
もっと言えば、子供が授かるのかすらわからないのが現状であるとこから、保奈美さんの長男くんは8歳であり、弟妹を望んでいることから、Kさんからしたら願ったり叶ったりな人物なのです。
このように条件面ばかり論議しているとドライな感じがして、どこまでいっても平行線をたどるのではないかと錯覚しそうなので、内面を目を向けて、お人柄を重視することにして、お見合いをお受けする運びとなったのです。
もしも、このままKさんと結婚することになったら(笑)
女性は果てしなく想像が大好きな生き物ですから、先々のことを沢山考えてますよね。
- 恋人みたいにできるかしら。
- 子供とは上手く付き合ってくれるの。
- 3人でどこへ出かけようか。
- 苗字はどのタイミングで変えようかしら。
どれもまだまだ先のことなのにね。と、保奈美さん自身も呆れながら、ひとりでにやけていたりしますが、再婚は家と家がつながること。
結婚したことがある保奈美さんだから、お相手のご両親が、子連れ再婚をどう思うのか、こんなことを考えだすと、一気に現実に引き戻されたのです。
バツイチ子持ちの私を親に紹介できますか?
お見合いの当日はあいにくの雨模様。
駅から近いとはいえ、傘をさして数分は歩くので、足元は雨粒の跳ね返りで濡れてしまいます。
至極当たり前にある習慣の一つに、お見合いは男性が先に来て待つ、がありますので、この日も保奈美さんより先にKさんが到着していました。
Kさんもこの日のためにピカピカに磨いた革靴にも容赦なく雨粒がついてしまったのですが、ハンドタオルでそそくさとぬぐい、元通りの光沢ある靴になりました。
こういったさりげない一つ一つに気遣いができる人なのかどうかは、私たち婚活アドバイザーの目が光るところです。
なぜなら、保奈美さんも細部に目が行き届く人だから。
そんな保奈美さんだからこそ、合理的な考え方もするようで、和やかにお見合いがスタートし、頃合いを見てKさんに伺ったそうです。
「子供がいる私をご両親に紹介したら驚かれませんか?」と。
お見合いが終わってからの保奈美さんはなんだかスッキリしているようにも見受けましたが、その理由はすぐに判明。
話し方も軽快で、雰囲気良く自分と合いそうだとインスピレーションを感じたけれども、
「Kさんは正直な方で、これまでもKさんの結婚相手に対してご両親がお相手を吟味していらしたようで、おめがねに叶う人がいなかったようだと教えてもらいました。」
ここ、もめたくないんです!
周りからも祝福されて再婚したいのです!
もちろんKさんからは、両親も説得するし、もう歳を重ねているのだから若い時ほど自分の結婚に期待はしていない、それどころかもう孫は無理なのかとも思っているから、任せて欲しいとも言われたそうですが、
「初めから親へのハードルがあるのなら、何もひと回りも歳が違う人でなくてもよいわ。」って。
これまでにお二人とお見合いをしたことでお相手への希望も一層ハッキリとしてきました。
次にはどのようなご縁があるのか、期待に胸を膨らませながら、今日のことも長男くんに報告しなくちゃねと笑顔で帰っていかれましたが、本当は再婚の難しさを体感した日になったのかもしれません。
to be continued:「【子連れで再婚・シングルマザー保奈美さん(7)】再婚しない選択と本音」